園の指針・方針

麗和幼稚園が創設以来守り通してきた三つの指針・方針

  • 祈り
  • 遊び
  • 絵本

① 祈り
 麗和幼稚園は教会(日本聖公会、世界的にはAnglican Church、Church of England<イギリス国教会>)併設の幼稚園です。昼食やおやつの前、遠足やいろいろな催しなどの前後にも、お祈りがあります。 また誕生日礼拝、月一回の全員での礼拝、クリスマスやイースター(復活祭)には教会の礼拝堂での礼拝もあります。卒園式は教会で行われます。
 礼拝は、子どもたちに、まず耳と心を澄ますことができるように、という思いから行われています。祈りの中で、お母さんやお父さんの声を聞く、友だちの声を聞く、自然の声を聴く、そしてその向こうの、目には見えないにしても、大きな存在の声に耳と心を澄ますことができるように、という願いから続けられています。子どもたちが大きくなって、西欧の歴史や芸術や文化に触れるとき、「ああ、幼稚園での祈りはこういうことだったのだ」と気づくことになるはずです。

② 遊び
 麗和幼稚園は「遊び」が中心の幼稚園でもあります。
遊びながら、友だちと関わることによって、個人では体験できなかった人間の世界の広さと深さ豊かさ、社会を経験していきます。ときには蹴られたり、ぶたれたり、意地悪されたり、仲間外れにされたり、逆に、蹴ったり、ぶったり、意地悪したり、仲間はずれにしたりしながら関係が深まり、子どもたちは見事に人間として成長していきます。幼い頃にどれだけ遊んだかが、その人間の豊かさを示すバロメーターです。
 幸いなことに、園庭は砂混じりの土です。多くの家庭がマンション住まいになり、土と触れることが少なくなりました。子どもたちは園庭に穴を掘り、川を作り、どろ団子を握り、ときに泥のかけ合いをして、毎日自分の手と足で大地を経験します。
 また、桜、梅、シラカシ、葡萄、柿、木蓮、泰山木、金木犀、キウイ・・・と、たくさんの木々が園庭に育っています。子どもたちはブドウや柿を食べ、梅の実でシロップを作り、梅の木や泰山木で木登りを楽しみ、シラカシが庭一面に落とすドングリで精一杯遊びます。さらに、木々の根元や葉っぱや落ち葉の下や畑の中には、昆虫の幼虫が蠢き、春から夏にかけて、さまざまな虫たちが飛び交います。子どもたちにとって、安心して遊べる自然の空間です。私たちは子どもたちが「遊んで遊んで遊んで、遊び死ななかったのが不思議なくらい」(20世紀を代表するスウェーデンの作家リンドグレーンの自伝の言葉)と、後で思えるほど、世界で一番遊べる子どもたちになってほしいと願っています。

③ 絵本
 子どもたちは、先生たちに毎日厳選された世界の傑作絵本(実は、子どもたちが自らの成長のために、何年も何年も『もう一回読んでよ!』と言い続けてきた絵本なのですが)を読んでもらっています。3年間で読んでもらう絵本の数は、ゆうに300冊を超えるでしょう。子どもたちは絵と言葉と物語の力に助けてもらって、絵本の主人公になりきり、世界中へ冒険に出かけ、多くの人びとや動物や、ときには巨人やドラゴンやトロルと出会い、そしてまた、読み手のところに戻ってくることでしょう。毎日、この「行って帰る」往復運動を繰り返しながら、子どもたちは成長していきます。「遊び」が身体の経験だとしたら、「絵本」は心の中の経験です。「遊び」と「絵本」の二つをバランスよく経験できることが、子どもの成長を支えるのです。
 子どもたちが将来どんな絵本に親しむようになるか、そもそも本好きになれるかどうかは、読んでもらった絵本の量と質によるのです。これはメディア全盛のこの時代にあっても同じです。むしろ、メディアの防波堤になっているのが絵本で、フィンランドでは父親が毎日15分間、絵本を子どもに読み聞かせています。だからメディア障害の子どもたちはいないと言われています。

 「コロナ禍の長いトンネルを抜けると生成AIの世界であった」と、最近、川端康成の『雪国』を模して言われるようになりました。実際、小学校入学と同時に、子どもたちにはタブレット端末が渡され、その結果、調べる力はもとより、読む力も、書く力も衰えてきたと懸念されています。キーボートを押せば、なんでも答えが引き出せる時代になりつつあるのです。人間として、歓びで飛び上がったり、悩みで身を震わせたりすることが、つまり、人間を、自然を、実体験することが著しく欠如してきているのです。友だちと一緒に、手と足と、身体全体を使って「遊ぶ」こと、すぐれた「絵本」を通して世界を深く感じること、そして静かな「祈り」の時を過ごすこと。
 私たちの園が守り通してきたこの三つの指針・方針は、今や、子どもたちのために守り通さなくてはならない、最も大切な課題として、私たちの国の、あらゆる大人に突きつけられているテーマになりました。保護者の皆さまと共に、この指針・方針の実現のために、変わらぬ努力を積み重ねていきたいと考えています。